もともと学生時代は油絵を描いていましたが、イラストが好きで、デザインにも興味がありました。トマムリゾートで企画広報部門で仕事をし、さまざまな広告やパンフレットの制作、写真やテレビ撮影などを経験していきましたが、徐々に都市部のクリエイターに地域の情報発信を委ねることに違和感を覚えるようになりました。
そして1997年に姉妹都市であるアメリカコロラド州のアスペン市を訪れ、小さな町にデザイン会社がいくつもあり、地域のフィッシングマップなどを販売しているのを見て、ますます地域の情報やビジュアルは地域から発信していくべきと考えるようになりました。
さらには、1998年にアップルコンピューターからボンダイブルーのimacが発売され、デザインは版下からデータへ本格的に移行し始めました。私も早速imacを購入して、自宅の一室でデザインデータの制作練習に明け暮れました。そして、独学ではありますが、ある程度仕事としてデザインワークをやれる目処(今考えると無謀ですが)をつけて、リゾートを退社し、村内で(有)日月社を設立しました。
以来、現在まで、心が通うデザインやイラストで、観光や農業、アウトドア、スローフードなど、北海道のさまざまな活動をお手伝いさせていただいています。ここでは、そのいくつかのデザインワークをご紹介したいと思います。
さんぺい(1997)
エゾサンショウウオのさんぺいは、リゾートに勤めている時に事務所の水槽で飼っていました。幼生のときに、サンショウウオの池から拾ってきて育てていました。このイラストはさんぺいの幼生の時のもの。ぷかぷか浮いていて、顔はかわいいのですが、仲間でもお構いなしに飲み込んでしまう獰猛なやつでした。さんぺいは3年以上飼っていたのですが、私が退職する数日前に水槽でおぼれて死んでしまいました。サンショウウオのくせに溺れるなんて。
日月社ロゴ(2001)
日月(にちげつ)とは日本の古い紋です。太陽と月という自然の象徴的な形をデザイン化したもので、北海道立美術館で北大路路山人作の「日月椀」から発想を得ました。しむかっぷという大自然の中で行うデザインワーク、ということで、この「日月」を会社名にしました。ロゴにあるDTPとはデスクトップパブリッシングで、今は当たり前のことですが、この時代にはとても新しいコトバでした。
金田さんイラスト(1998)
新得町屈足にある金田ベリー園の金田周一さん(故人)を描いたイラスト。トマム勤務時代に、「苫鵡の達人(新版)」でベリー園を特集するときに描いたものです。その後日月社を設立し、金田ベリー園のハスカップジャムの販売に関わることになりました。金田さんとは二人三脚で、ジャムのデザイン、販売価格の設定、保健所申請、ジャム工場の建設、企業への売り込み、新製品の開発などありとあるあゆる事を進めました。ハスカップジャムやカシスジャムは、現在でも道内の空港などで販売されている北海道の逸品になりました。
http://www.kaneda-berry.com/
北海道ガーデン街道ロゴ(2008)
書体にイラストを添えたシンプルなロゴです。北海道はその後ガーデンブームとなり、夏は多くの方がガーデンめぐりに訪れます。この街道シリーズでは、このあと「チーズ&ワイン街道」「ふゆスパ街道」「スイーツ街道」も制作させていただきました。
http://www.hokkaido-garden.jp/
わーい しむしょう100ねん!(2004)
近くにあった、村で一番古い小学校の開校100周年記念誌。この数年前から学校の存続のために、山村留学協議会が立ち上がり、お手伝いさせていただいたのですが、こn100周年を機に、廃校になってしまいました。表紙の5つのイラストは当時の最後の在校生5人に描いてもらったもの。イラストとタイトル「わーい しむしょう100ねん!」大胆に箔押しで表現しました。
森のかりうど
ロゴ・サイト(2004)
占冠村の腕利き猟師高橋勝美さんが経営する会社。当初、個人事業として立ち上げる際に作らせていただいたロゴ。2012年に法人化された。
(以下サイトから)占冠村は山あいの土地ですから、農地や森を守るために猟師が活躍しています。そして村の猟師はエゾシカをただ撃つのではなく、「命をいただくのだから、 隅々までできる限りきれいに、おいしく食べてあげたい」と考えています。自然の中から一頭ずつ狩猟され、解体場へ運ばれて丁寧に解体された質の高いエゾシ カ肉を、「森のかりうど」はみなさまの食卓にお届けします。
http://www.morinokariudo.com/
村長の山菜名刺(2010)
中村博村長のオーダーで作った山菜名刺。とても好評をいただいています。この山菜イラストは、5月の最終日曜に行っている「占冠村民 山菜市」でもビジュアルとして使っています。
鵡川135km・源流から海まで ひょろ長〜いマップ(2014)
2009年から3年間、農水省の補助を受けて活動していた「しむかっぷふふふ協議会」で制作したマップ。かねてからテーマとしていた「鵡川源流から海まで135kmの循環」をわかりやすく表現したいと制作しました。実際に川下りをしたとしても使えるように、川の形や、道路、鉄道との交わりは限りなく正確に描いています。裏面には流域の動物や山菜料理、そして辛口ですが、水の循環上問題の残る人工物も未来への目標という視点で掲載しています。
LoCoTAble(ろこたぶる)
ロゴとサイトデザイン(2014)
スローフードの活動に2002年から参加し、今ではすっかりライフワークとなっています。LoCoTAble(ろこたぶる)とは、スローフードの活動から派生した取り組みで、スローフードが考える理念や哲学をもっと社会に浸透させていきたいという思いで、2014年に秋山生命科学財団の住民活動助成事業を活用して取り組んでいます。ロゴのデザインと、サイトデザイン、運営を行っています。これまらますますサイトを充実させる予定です。
http://locotable.net/
山本敬介・公式サイト
〒079-2202 北海道勇払郡占冠村字占冠272-15 電話 0167-39-8711