2011年の5月に占冠村議会に出て以来、最初は手探りで活動していましたが、徐々に議会議員が行政に提案し、住民活動も喚起しながら、どのように行政を変えていくか、その独自の手法が見えてきました。
 このページでは、私がこれまで進めてきた議会活動と住民活動により、行政の施策が変わり、成果が見られたものを掲載します。ただし、私の一般質問や提言、調整などによって、その後改革されたものの中には、必ずしも私の活動だけではなく、さまざまな状況の変化や事前の行政の判断があって改革されたものも含まれていますので、参考までにご覧ください。

 

防災対策
 防災対策については、2011年の東日本大震災の津波と原発被災地を目の当たりにして以来、一般質問などでかなりの時間を割いて水害や雪害の備えについて毎回質問しました。また、予算質疑などでも細かく指摘してきました。その結果、少なくとも防災対策備品の購入や防災訓練の実施など、村の防災対策は、少し前進しました。しかしながら、情報伝達の手段は手付かずのままですし、近年の世界的な気候変動による雨や雪を考えると、さまざまな想定に基づいた防災が求められています。

現地ルポ(2011年4月10日-11日) 東日本大震災発生1ヵ月後の被災地を訪ねて
現地ルポ(2013年7月21日-22日) 福島第1原発の周辺地域を訪ねて

成果: 防災用備品の購入(毛布、アルミシート、ポータブルストーブ、発電機、ボート等)、防災備蓄庫の整備(占冠中学校横)
トマム公共ヘリポートの廃止
トマムの公共ヘリポートは、近年ではドクターヘリが校庭や道路でも離着陸できることから、ほとんど行政による使用がないにもかかわらず、年間の292万円余り(2015年度決算)の管理委託料をトマムリゾートに支払って継続していました。ヘリポートの廃止は、決算特別委員会等で2013年から指摘してきましたが、2016年にやっと廃止が決まりました。しかしながらもう1年でも2年でも早く廃止していれば、年間300万円ものお金をほかに有効に使えていたのに、と行政特有の動きの遅さに後悔も残ります。

成果:公共ヘリポート廃止(2016)による、次年度からの管理費年間2,920,000円の削減 ※民間による運営は継続
保育所の名称変更
「占冠村 保育所」で検索すると、村のホームページには50年以上経過した保育所の写真と「占冠へき地保育所」の文字が表示されるだけで、子育て世代の移住定住を促進する施策はほとんどありません。そんな中で、子育て政策の重点施策としての位置づけを意識していくために、保育(幼児教育)と学校教育の所管同一化と、名称から「へき地」をとることを2015年3月と2016年6月、2度にわたって質問しました。名称の変更は条例の文言などすべて修正する必要があるため、行政としては面倒な部分ですが、無事に条例は改定され、今後は同じく2015年に質問した「森のようちえん」の取り組みや、急務となっている占冠 保育所の建て替えなど、子育て施策全体の見直しを目指していきます。

成果・占冠へき地保育所・トマムへき地保育所 > 占冠保育所・トマム保育所 に名称変更(2016年条例改正)
歩く避難路の設置

中央地区は昭和37年の水害でもわかるとおり、堤防が決壊するような水害に見舞われた際には、全域が水没する恐れがあります。現在避難所に指定されている占冠中学校は高台にあるのですが、非難できる道は1ルートしかありませんでした。私をはじめとする数人の議員の質問等によって行政は数ルートを検討し、中央地区のうんどう公園から最短距離を非難できる歩く避難路が2015年度に約975万円をかけて整備されました。冬期の除雪の問題と、車で非難できる道をもう1ルート確保する必要性が残っています。

成果:歩く避難路の整備(2015) 整備費用・・9,752,400円(2015年度決算)

再生可能エネルギーのマスタープラン検討と小水力発電の提案
村は村有林からでる間伐材を活用した、木質バイオマスの取り組みを2014年から進めていますが、小規模多機能型介護施設に突然地中熱のヒートポンプを導入するなど、再生可能エネルギーのマスタープランがなく、その他の地域エネルギーの可能性を研究していませんでした。2014年に再生可能エネルギーのマスタープランを検討するよう質問、その後、庁内で「再生可能エネルギー検討PT」が副村長の座長で作られました。また、2014年に近自然セミナーで小水力発電を取り上げたことをきっかけにして、2015年には環境省の市民調査協働事業を有限会社三素の協力で採択。湯の沢川の小水力発電の調査をし、その結果を行政にフィードバックしています。今後は湯の沢温泉における小水力発電の実現に向けて活動を継続していきます。

成果:「再生可能エネルギー検討PT」の実現(2014)、小水力発電の調査(2015・環境省事業)
木質バイオマスの推進
村では2006年にNEDOの助成を利用して「占冠村地域新エネルギービジョン」を策定しています。私も一般公募委員として、この策定に関わり、下川町や岩手県の視察にも同行しました。しかし、このビジョンには導入の手順なども詳細に示されているにもかかわらず、この後計画は進みませんでした。私たち住民グループは村内で環境セミナーなどを開催しながら、粘り強く再生可能エネルギーの導入を促してきました。その結果、村はやっと重い腰を上げて、指定管理になった湯の沢温泉へのドイツ製薪ボイラーの導入に至りました。この導入を主導したのは、2006年の新エネビジョンの副会長山形定氏でした。これに合わせて、村内の事業体で木質バイオマス生産組合を設立し、薪と木炭の生産をしています。今後は途切れてしまった木材のサプライチェーンを復活し、村の森林資源をより有効に活用する施策が望まれています。

成果:薪ボイラーの導入(2013) 木質バイオマス生産組合の設立(2013)
防犯カメラの設置
都会で頻発している凶悪犯罪は、占冠のような地方都市でもいつ起きるかわからない状況です。道東道の開通によって、交通の要衝となっている占冠村には、他地域から簡単にアクセスすることができるようになり、便利になった反面、こうした凶悪犯罪のリスクも高くなったと考えるべきでしょう。
それまで占冠村には、行政が管轄する防犯カメラがありませんでした。しかし、もし犯罪が起きてしまった時には、村内を移動するためにほとんどの車や人が通過する「中央道の駅の交差点」付近への防犯カメラの設置を2012年12月の一般質問で提案しました。その時点での行政の答えは、現時点では考えていないというものでしたが、2016年(平成28年)には道の駅出入り口、コミプラ横の駐車場、道の駅トイレの駐車場に計3台が設置されています。
幸い、この防犯カメラを検証するような重大事件は起きていませんが、運用方法などについて、今後質問していく予定です。
NPO法人の住民税均等割減免条例制定
NPO法人に課される住民税均等割減免条例が当時村にはありませんでした。この減免措置がない市町村は少なく、行政が一手に担っていた公的サービスを、民間に移管していくための受け皿としてNPO法人が注目されていた中では、遅れていると言わざるをえない状況でした。
この条例制定の提案は2012年12月の一般質問で行いましたが、当初行政側では別の方法で減免するというような答えでした。その後、条例が制定され、現在では村でNPO法人設立への障壁がひとつ減りました。
字占冠の集落対策(浄化槽整備)
字占冠は占冠村の中でも、人と人とのより強いつながりが残っている地域で、森や川にも近いことから占冠らしい暮らしの象徴的な魅力あふれる場所です。
しかし、高齢化による人口減少は目に見える形で進んでおり、「ただ人を増やすために公営住宅などのハードを整備する」といった旧来の方法ではない、字占冠らしい充実した暮らしの形を住民自らが考え、無理のない範囲で行動していくことが重要だと考えています。
字占冠には下水道が整備されていませんので、昭和63年建設の公営住宅や個人で浄化槽を設置していない住宅は、昔ながらの汲み取り式トイレで、それが理由で中央に転居する方もいました。私は2015年3月の定例会などで浄化槽設置について質問し、中村村長(当時)が決断して浄化槽の公営住宅への設置が決まり、2018年度に公営住宅8戸に整備されました。古い住宅への多額な投資は行政のコスト感覚から考えると無理な面も多く、この投資は住宅への投資ではなく、地域への投資と考えるべきです。今後この8戸が長く利用されるよう、また新しい住民が暮らす受け皿にもなるよう、地域もしっかり応援していく必要があります。
薪ストーブの補助制度

湯の沢温泉に薪ボイラーが導入されるにあたり、占冠村木質バイオマス生産組合が設立され、村の土地や建物、また薪生産に必要なほぼほとんどの機械や資材を無償貸与し、村有林の間伐材も原料としても寮で提供する形で、地域の木質バイオマスエネルギー循環の試みが始まりました。平成25年2013年の事です。
その後、スキー場のロッジやトマムの地域カフェ(ミナトマム)、道の駅などに薪ストーブが導入されましたが、公的施設だけではなく一般村民への薪利用も広めていくためにこの補助制度が制定されました。
私は、薪ストーブの導入補助制度には賛成していますが、問題はその中身です。現在の補助制度はわかりやすく言うと100万円する薪ストーブを導入するときに50万円を補助するという制度です。数千円から5万円までの安価なストーブでは対象にならないのです。つまり、鉄板式の薪ストーブなどを昔から使い続けているような家庭には何らメリットはないのです。
環境に配慮した製品への補助制度と行政は説明していますが、薪の使用を村内で増やしていくという目的からすると根拠に乏しく、2016年3月議会の一般質問などでこの制度の改善を求めています。
私は、薪の焦げる匂いが大好きで、占冠では中央の市街地でも秋から春にはこの香りに包まれています。ある人が「この香りを嗅いで子供達は育っていく」と言いました。まさしく、この香りを嗅ぐと故郷を思い出してくれるでしょう。ただのエネルギー政策、雇用対策、経済循環だけではない重油な取り組みだと認識しています。そのためにも住民がより長く薪ストーブを使い続けられるような補助制度を作っていきたいと思います。

地域材、クラフトの活用を

豊富にある地域の木材を使って、クラフト製品や建築資材にしていくことは、本来はごく当たり前のことなのですが、占冠村は長く続いた木材不況の影響で沢山あった製材所が現在では0になってしまい、サプライチェーンが切れている状況です。
しかしながら、観光協会を受け皿にして、国の緊急雇用対策制度などを組み合わせて人材を募集し、はじめたクラフト事業は順調に推移し、現在では民間に移行して事業を継続しています。
村長室のテーブルはこの工房の製品ですが、導入にあたって村は当時既製品を考えていましたが、2013年12月の私の一般質問によって村の材を使った工房の製品になりました。また、村で誕生した子どもへの木工製品(ククサ)のプレゼントは、東川町の木の椅子プロジェクトを見習ったものですが、こちらも2013年6月の一般質問などで提案を繰り返し実現しました。
このように村の木工製品は道の駅やリゾートでも販売されており順調ですが、村の材を使うにはまだまだハードルが高い状況です。
また、2019年度に建設する保育所には村の木材を使用していますが、村の木材を使おうとすると当麻町の製材所に運んで特別に乾燥、製材してもらうといった経費が発生します。村の木材を村の建物に使うというのは、本来環境にも経済的にも良いという大前提のはずなのですが、現状では逆のことが起きてしまうのです。こうした木材のサプライチェーンを復活させていくことが村の林業の大きな目標であり課題です。

プレミアム商品券25%の継続を

プレミアム商品券は 村の商工会を通して行われている中小企業対策上の重要な行政施策です。多くの市町村で行われていますが、20年以上継続しているのは珍しいと思います。しかしながら、この他に中小企業対策が見当たらないというのも正直なところです。
ただし、燃料関係に利用が集中してしまうという懸念も大きく、商工会では効果を分散するために積極的にスタンプラリーを行っています。
一時は国と道の施策で還元率25%で実施していましたが、現在村の単独予算のため20%に戻っています。実施期間は夏と冬を合わせると6ヶ月に達しますが、他に効果的な中小企業対策が見当たらないのであれば、25%を維持する、年間を通して実施するなど、地元消費を確保する思い切った策を検討をすべきと考えています。

エゾシカクラフトの研究と推進

占冠村では、エゾシカを地域の貴重な資源としてとらえ、2012年に解体加工施設「ジビエ工房森の恵み」を建設し、鹿肉の販売や加工を積極的に行ってきました。また、エゾシカの農業被害軽減と保護管理を目的とし、道内で2番目となる「猟区」を2014年9月15日に設置しました。村のハンターは、難しいクリーンキル(頭、首、胸部を狙い仕留める方法)を心がけており、その結果、質の良いエゾシカの肉を得ると同時に、良い状態の鹿革も手に入るようになりました。
しかし、エゾシカクラフトを育てるためには、鹿革のサプライチェーン(皮がどのような過程を経て、クラフトの原材料である革になるのか)とコストを検証し、安定的に材料が供給するようにしなければなりません。角は素材をそのまま活かせますが、革は簡単にはいきません。
まず、鹿革をなめしたり、乾燥させたり、染色したりする作業は、枚数がまとまらないとできません。しかし家畜と違って、1日に1頭、多くても2?3頭という野生の鹿の場合、大量の皮を塩もしくは冷凍で貯蔵しておく必要があります。さらに、加工は道内で完結することができないことから、運賃も含めコストがかさみます。このように、鹿革製品の素材を安定供給するにはかなりの投資が必要になってきます。
それでも、鹿革はその軽さ、強さ、なめらかさからヨーロッパなどでは高級製品であり、その素晴らしい素材が占冠にあることは事実です。大量生産に頼らず、クラフトマンが他の製品と合わせて少量でも取り組んでいけるよう、今後も研究開発を後押ししていきます。

落差工を考える住民会議

トマム-占冠間の鵡川本流に50年以上前からある古い「落差工」の出来た経緯や役割を知り、必要と思われる魚類や環境の調査を経て、サクラマスが遡上可能な魚道の整備につなげていきます。2016年に北海道旭川建設管理部との共催で「落差工を考える住民会議」を村民中心に6回開催しました。また、こうした議論に興味がある村外からも多くの方にご参加いただき、様々な情報交換も進みました。同時に現地の視察、環境調査、生物多様性の講義を含めて、大変有意義な議論が出来ました。
その後、50年前の落差工の設置者が林野庁であることがわかり、森林管理署から具体的な魚道の提案も出てきていることから、住民会議を再開して、魚道の具体的な設置内容を検討するとともに、具体的な地域資源管理の手法や体制も議論していきたいと思います。
こうした「住民会議」は、今まで「陳情」という形で行われてきた、住民の声を公共工事に届ける作業を、住民と行政が一緒に地域の未来を考えるという新しい形に変換する取り組みです。スピードは遅いかもしれませんが、地域住民の知識は飛躍に高まり、その公共工事がどうして必要なのか、どのくらいのお金がかかるのか、しっかりと把握し考えることができます。その知見は今後流域全体の河川や資源管理、環境保護などに大いに役立つと考えています。

トマム地区の1歳児保育の検討

「トマムに転勤で引っ越してくるつもりだが、1歳児保育を使って働きたい。しかし保育サービスがないなら、清水町や十勝に住むより仕方がない。」こんな話を聞いたのは、秋口のことでした。折しも、トマムに子育て支援住宅を建設中のことでした。占冠村の場合、対象者がいないサービスをあらかじめたくさん準備しておくことは難しいのですが、少人数でも対象者が確実にいれば小回りがきくのが良いところだと思います。この後、地域振興対策室や保健福祉課と話し合って、トマム支所の人員を増やすことで、2017年度からトマム地区の1歳児預かりは実現しました。その後中央地区でもニーズが高まり、翌年から中央地区でも実施されています。
こうした一連の動きを見た住民から「1歳児預かりができたのは嬉しいが、前から言い続けてなかなか実現しなかったのに、議員に知り合いがいる人が陳情したらすぐに実現した」と指摘されたことがあります。この言葉に、私はドキッとし、より多くの住民の声に耳を傾けられなかった自分の至らなさを反省しました。
占冠村のような小さな自治体では実はこういった「コーディネート」を実現できる「コネクション(関係性)」こそが必要なのです。例えば、住民側にニーズがあっても、行政側と交渉し「施策」を実現するのは、一般住民にはなかなか難しい。だからこそ、住民と議員や行政が普段から顔の見える関係を作り、普通に情報交換できる場や機会を増やし、その中から「地域課題」を見つけ出して、お互いが工夫しながら克服していくていくことが大切です。議員はつねに行政と住民の「コーディネーター」であり、住民活動の「プロデューサー」であるべきです。

防災担当の配置

私は2011年に議員になってから、一貫して防災のことを訴えてきました。東日本大震災発生から丁度1ヶ月後の2011年4月10日-11日にスローフードの友人らを訪ねて被災地を訪れ、自然の脅威を目の当たりにしたことが大きな経験となっています。村では、防災用備蓄の整備から始まり、防災訓練の実施、備蓄庫の建設、歩く避難路の整備など様々な面で防災対策を進めてきました。
しかし、着実ではありますがそのスピードは決して早いものではありませんでした。これには組織的な理由があると私は考えました。防災は総務が担当していましたが、ただでさえ忙しい総務課が他の仕事を兼務しながら防災を推し進めていくには無理がありました。その証拠に災害情報の伝達や、災害時のホームページやSNSの運用などは、いつになっても進みませんでした。
そして、2016年の8月30日に発生した台風の大雨によるトマム地域の被害、南富良野町幾寅や串内牧場の甚大な被害が発生、改めて災害はいつ起きるかわからないという思いを強くしました。そこで、2017年6月一般質問(中村村長)防災推進室の設置を、2017年9月一般質問(田中村長)でも防災推進室の設置と、民間から室長の起用を求めました。
これがきっかけになり、現在では総務課に防災担当が置かれることになりました。2018年からは冬期の防災訓練の実施など、目覚ましい活躍を見せており、長年の懸案である情報伝達と車による避難路の別ルート建設に期待しています。

女性消防団の創設
2015年からは広域連合議員を担うことになり、同時に広域連合の監査委員も担当することになりました。これにより4つの広域事業「消防」「衛生センター(生ゴミ)」「学校給食」「串内牧場」についての事務を詳細に把握することができました。
同じ上川管内の下川町を訪れた時に、友人が女性消防さんに参加していることを知りました。ある住民に声を変えてみたところ「興味がある」ということでした。すぐに消防署長に相談して、女性消防団の創設に向けて動き出しました。最終的には5名が女性消防団員となり、富良野管内では初の女性消防団創設となりました。
女性消防団の役割は、通常の消防訓練に加えて、広報活動や災害時の女性ならではの対応(避難所での授乳や着替えなど)など多岐にわたります。他地域の女性消防団との交流もあって、情報収集にも役立っています。そして何より、ボランタリーな消防団活動に活気が出ます。2019年度も新たに加わってくれる方がいるということですが、これらの動きは住民の社会的貢献の意識や、女性の社会進出の意識の表れではないかと思います。ますます後押ししていきたいと思います。
●「核兵器禁止条約の日本政府の署名と批准を求める意見書」を提出

私の父は昭和13年に広島市で生まれ育ちましたが、原爆が投下された昭和20年(1945年)8月6日には島根県の親戚のところに疎開していて難を逃れました。
しかし、父の母親、つまり私の祖母は原爆に巻き込まれ、家は全壊しました。祖母は一命を取り留めたものの家の下敷きになった子供を捜して毎日通い、その後放射能による原爆症で亡くなりました。
祖父もすでに亡くなっていたため、父と姉弟は戦後の混乱期を親戚を頼って生きていかざるを得ず、姉弟で大阪に出てからも大変苦労したと聞いています。
唯一の被爆国である日本が、核兵器禁止条約に署名しないことはまったく理解できません。
原子力発電も含めて、核の利用は地球の未来のために廃止すべきなのはあきらかです。
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意見書案第13号「核兵器禁止条約の日本政府の署名と批准を求める意見書」
このことについて、別紙のとおり意見書を提出します。

平成30年12月14日提出
提出者 占冠村議会議員 山本敬介
賛成者 同 工藤國忠
賛成者 同 佐野一紀

意見書の中身について要約して読みながら主旨を説明します。

「核兵器禁止条約の日本政府の署名と批准を求める意見書」

広島と長崎にアメリカの原子爆弾が投下されてから72年を経た2017年7月7日の国連会議で国連加盟国の3分の2にあたる122カ国の賛成で国際法史上初めて核兵器禁止条約が採択されました。核兵器禁止条約は、核兵器について破滅的な結末をもたらす非人道的な兵器であり、国連憲章、国際法、国際人道法、国際人権法に反するものであると断罪して、これに「悪の烙印」を押しました。核兵器はいまや不道徳であるだけでなく、歴史上はじめて明文上も違法なものとなりました。同じ年の9月20日にはニューヨークの国連本部で署名式典が開かれ、賛同する国々による署名と批准の手続きが始まりました。この歴史的な核兵器禁止条約採択への貢献が評価され、12月10日には2017年のノーベル平和賞が国際NGO 「核兵器廃絶キャンペーン」(ICAN)に授与されています。平和首長会議は2017年8月の第9回総会で「核兵器禁止条約の早期発効を求める特別決議」を可決しました。核兵器禁止条約は、被爆者とともに我々国民が長年にわたり熱望してきた核兵器完全廃絶につながる画期的なものであると思います。核兵器禁止条約の採択から1年余。国際政治でも各国でも前向きな変化が生まれています。条約調印国はアジア、ヨーロッパ、中南米、アフリカ、太平洋諸国の60カ国、批准国は15カ国にひろがっています。唯一の被爆国である日本の政府は、被爆国として核兵器全面禁止のために真剣に努力すべきです。それが国際社会における日本の役割ではないでしょうか。その証として、核兵器条約に署名、批准することを強く求めます。

記、1、日本政府が速やかに核兵器禁止条約に署名することを求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成30年12月14日 
北海道勇払郡占冠村議会議長 相川繁治
意見書提出先 安倍晋三内閣総理大臣 外務大臣 以上

「辺野古新基地建設問題の解決に向けた取組みを日本国民全体に呼びかけるとともに、政府に対し、沖縄県民の民意を尊重することを求める」を決議

沖縄県民投票の結果や知事選の結果など民意にまったく耳を傾けず、強引に辺野古米軍基地建設のための埋め立てを進める政府の姿勢に強い憤りを覚えます。
米軍基地の沖縄集中を、日本全体の問題として捉え、問題に寄り添って解決に協力していくことが大切だと考えます。
富良野5市町村の議会で最初に決議したことに大きな意義があると感じています。村の自民党系の議員も賛成してくれたことは、占冠村議会議員の思考が正常であることを示していると思います。
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決議案第1号「辺野古新基地建設問題の解決に向けた取組みを日本国民全体に呼びかけるとともに、政府に対し、沖縄県民の民意を尊重することを求める決議」について。

上記の決議案を別紙のとおり会議規則第14条第1項の規定により提出します。平成31年3月13日提出、占冠村議会議長、相川繁治様。

提出者 占冠村議会議員 山本敬介
賛成者 同 佐野一紀
賛成者 同 長谷川耿聰

「辺野古新基地建設問題の解決に向けた取組みを日本国民全体に呼びかけるとともに、政府に対し、沖縄県民の民意を尊重することを求める決議」

現在、政府は、普天間飛行場の代替用地として、沖縄県北部の辺野古崎海域において埋め立て工事を行っている。沖縄県知事が埋立承認を取り消し、撤回し、幾度となく上京して説明をし、集中協議の場で再考を求めても、意向は何ら顧みられることなく今日も淡々と工事が継続されている。この間、沖縄県民を除く日本国民の多くは政府の方針に強い関心を示してないように見受けられる。沖縄県民の多くは、辺野古新基地の建設に反対している。このことは、基地建設の是非を主たる争点として実施された過去二度の県知事選挙において、いずれも同基地建設に反対した候補が大差で勝利した事実に端的に表れている。自国の防衛が、国民の合意の下で国が重点的に担う事項であり、国民が平和の恩恵を受ける対価として一定の負担をしなくてはならないとしても、その負担は、合理的な理由のない限りすべての国民が等しく負うべきものであり、特定の地域の国民に大部分を負わせるという不平等はあってはならない。普天間飛行場の返還は、その基地形成過程及び沖縄県民にこれまで課された過度な負担からすれば当然の施策であり、平成8年(1996年)のSACO合意を待たずとも、決定、実行されなければならなかった施策である。「代替基地を沖縄県内に新たに設けることについての止むにやまれぬ理由」につき合理的な理由のないまま建設することは、沖縄県民の自主的判断を軽視し、また、尊厳を軽んじる施策であると言わなければならない。また、日本国憲法は「地方自治の本旨」(第92条)を保障している。住民自らの意思に基づいて地域の事項を決定するという地方自治の趣旨からすれば、二度の沖縄県県知事選挙の結果に表れた辺野古新基地建設反対の民意は、最大限尊重されなければならないものである。

占冠村議会は、すべての日本国民に対し、沖縄の問題を自らの問題、日本の問題として捉え、同じ国民として解決策を模索することを呼びかけるとともに、政府に対し、現状を改めて認識したうえで、住民自治の趣旨に則り、沖縄県民の意思を尊重し、これ以上沖縄県民の尊厳を傷つけることのないように求める。

以上決議する。

平成31年3月13日 北海道勇払郡占冠村議会

この決議が作成された後、2019年2月24日に沖縄県民投票が行われ、辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否が問われました。結果はご存知のとおり、反対71.74%、賛成19.99%、どちらでもない8.70%となり、沖縄県民の民意が改めて示されたことを申し添えます。



 
山本敬介・公式サイト 
〒079-2202 北海道勇払郡占冠村字占冠272-15 電話 0167-39-8711